住宅ローンのつなぎ融資とは?必要なケースやメリット・デメリットをご紹介
住宅を購入するとき、多くの方が住宅ローンを利用しますが、住宅ローンでは融資が間に合わないこともあります。
そのようなケースでは、つなぎ融資を利用して一時的に間に合わせることも可能です。
そこで今回は、住宅ローンのつなぎ融資とは何か、つなぎ融資が必要なケースやメリット、デメリットについてご紹介します。
住宅ローンのつなぎ融資とは
住宅ローンの審査に通過しても、融資が実行されるまで実際に資金を受け取ることはできません。
しかし、住宅を購入するときは住宅ローンの融資が開始されるより前にお金が必要になることがあります。
つなぎ融資とは、そのようなときに利用できる一時的な借り入れのことです。
住宅ローンの実行前に利用する
つなぎ融資とは、住宅ローンの融資が実行される前に必要となる資金を借り入れる方法です。
たとえば、住宅を建てる際の土地購入費用や売主への手付金など、融資開始前に支払う必要がある費用は少なくありません。
これらの費用を自己資金で賄える場合は問題ありませんが、自己資金が不足する場合には、つなぎ融資を利用して一時的に資金を調達します。
金利は住宅ローンより高い
つなぎ融資の金利は、一般的な住宅ローンよりも高い傾向にあります。
つなぎ融資は無担保で借りられるため、金融機関にとってリスクが高い融資となります。
そのため、住宅ローンよりも金利が高く設定され、回収できる金額を増やそうとするでしょう。
住宅ローンの金利は0.5~2.0%の範囲に収まることが多いですが、つなぎ融資では2.5~4.0%と、金利が倍以上になることもあるため、注意が必要です。
一括返済が必要
つなぎ融資は、分割返済の住宅ローンとは異なり、一括返済が必要です。
住宅ローンの融資が開始された時点で精算し、受け取った住宅ローンの一部を充当します。
住宅ローンの融資が開始されるまでは、つなぎ融資の元金を返済する必要はありません。
ただし、利息については一括返済が完了するまで支払いを続ける必要があります。
住宅ローンの融資が開始されるまでの期間に、必要に応じて複数回つなぎ融資を実行することも可能です。
複数回の融資を受けた場合でも、住宅ローンの開始時に一括で全額を返済します。
住宅ローンのつなぎ融資が必要になるケース
つなぎ融資は、住宅ローンを借りたときに必ずしも必要になるわけではありません。
基本的には、住宅ローンの融資が始まる前にまとまったお金が必要なものの、自己資金で賄うのが難しいケースで必要になります。
注文住宅の建築
つなぎ融資が必要になるのは、注文住宅を購入して建築する場合です。
注文住宅を購入する際は、土地の購入費用、建物の着工金、中間金を住宅ローンが始まる前に支払う必要があります。
中古住宅やマンションでは、住宅ローンの融資が開始されると同時に決済と引き渡しがおこなわれますが、注文住宅は先に支払う金額が多くなります。
着工金や中間金だけで建築費用の半分以上を占めることもあるため、土地の購入費用と合わせると自己資金での支払いが難しくなるでしょう。
これらの費用の配分は施工会社によって異なりますが、まとまった金額になることが多いでしょう。
このような場合、土地の購入で1回目、着工金で2回目、中間金で3回目と、つなぎ融資を実行するタイミングを分けて利用します。
中古住宅のリノベーション
中古住宅を購入し、リノベーションを実施する場合、つなぎ融資が必要となるケースがあります。
リノベーション工事をおこなう際も、新築と同様に着工金や中間金の支払いが必要です。
住宅ローンによっては、一定の要件を満たすために中古住宅をリノベーションしなければならないこともあります。
工事の内容にもよりますが、大規模な工事をおこなう場合は自己資金での支払いが難しいことが多いです。
リノベーションをおこなわない場合は、中古住宅を購入してつなぎ融資を受ける必要はありません。
住宅ローンの融資が間に合わないとき
つなぎ融資は、住宅ローンの融資開始が住宅の決済に間に合わない場合にも利用されます。
通常、住宅の決済と引き渡しの日程は、住宅ローンの融資開始日を確認しながら売主と買主が話し合って決定します。
しかし、住宅ローンの融資開始日をしっかり確認せずに契約を交わし、予定していた決済日とズレてしまうことがあるでしょう。
一般的な方法で住宅ローンを組めば、決済に間に合わなくなることはほとんどありませんが、条件によってはその可能性もゼロではありません。
このような場合、契約が実行できなくなるのを防ぐために、つなぎ融資が活用されることがあります。
ただし、このケースでは利息の支払いが高額になるため、トータルでの支払いが増える点に注意が必要です。
住宅ローンのつなぎ融資を利用するメリットとデメリット
つなぎ融資は便利ではありますが、利用するにあたってはメリットとデメリットの両方が存在します。
安易に利用すると、思わぬ損失を被る可能性があるため、どのような性質の融資なのかは知っておく必要があるでしょう。
つなぎ融資のメリット
つなぎ融資を利用するメリットは、まとまった自己資金がなくても住宅を購入できる点です。
本来、土地の購入費用や工事の着工金、中間金を支払えない場合、新築住宅やリノベーションが必要な中古住宅は購入できません。
しかし、一時的につなぎ融資を利用して費用を工面することで、自己資金が不足している場合でも住宅を購入することが可能になります。
住宅ローンの融資を受けるには、建物が完成していることが条件となるため、それ以前に必要な費用については自己資金またはつなぎ融資を利用することになります。
また、つなぎ融資は新築住宅の購入だけでなく、住み替えの際にも活用することが可能です。
買い先行で住宅を住み替える場合、旧居の売却に時間がかかるため、資金調達が課題となります。
つなぎ融資は、買い先行で住み替える際の資金調達手段としても利用可能です。
買い先行の場合、仮住まいが不要なため、つなぎ融資を利用して利息を支払いながら全体的な費用を削減できることもあります。
さらに、旧居を空き家にすることで内見の準備がしやすく、売却活動が円滑に進むというメリットもあります。
つなぎ融資のデメリット
つなぎ融資のデメリットは、住宅ローンと比べて金利が高い点です。
住宅ローンは購入する住宅を担保に入れて借り入れるため、万が一返済が滞っても住宅を差し押さえて債権を回収することが可能です。
一方、つなぎ融資はまとまった金額を借り入れるものの、担保を入れない無担保のローンとなります。
さらに、一括返済が必要なため、場合によっては返済されないリスクがあり、金融機関にとってはリスクの高い融資です。
そのため、金利を高く設定してリスクをカバーしようとしています。
また、つなぎ融資は取り扱っている金融機関が少なく、選択肢が限られているため、好条件の融資を見つけるのが難しい場合があります。
ローンに関する手続きを一本化できない可能性もあるでしょう。
さらに、つなぎ融資は住宅ローン控除の対象外であり、借り入れ金額に関わらず所得税に影響しません。
住宅が完成してからの住宅ローン以外は控除の対象となりませんので、つなぎ融資では税金の控除を受けられない点に注意が必要です。
また、事務手数料などの追加費用が発生するため、余計な出費が増える可能性もあります。
まとめ
つなぎ融資は、住宅ローンの融資が開始される前にまとまったお金が必要なケースで利用します。
注文住宅の購入やリノベーションなど、まとまったお金が必要なタイミングは多いです。
自己資金がなくても住宅を購入できますが、金利が高いところに注意して利用しましょう。