不動産の登記時にかかる登録免許税とは?税率と軽減措置について解説
不動産を取得したら、所有者名義を登録するための登記が必要です。
登記時には登録免許税がかかりますが、事前に必要な金額を確認し、支払いの準備しておくと手続きで焦らずに済みます。
そこで今回は、不動産の登記時にかかる登録免許税と税率、軽減措置について解説します。
不動産の登記時にかかる登録免許税とは?
はじめに登録免許税の基礎知識として、登録免許税とはなにか、登記に行く場所、その他の登記費用について解説します。
登録免許税とはなにか
登録免許税とは、不動産の取得時に所有者を登録する登記の手続きで課せられる国税です。
登録免許税がかかる状況には主に、土地の取得、新築・中古の建物の取得、住宅ローンの借り入れがあります。
税額は不動産の評価額を基準に決められますが、登記の種類によって税率が異なります。
たとえば、土地と新築の建物を取得した場合は、土地と建物にそれぞれ異なる税率が課せられる計算です。
また、住宅ローンの借り入れでも金融機関が抵当権を設定する登記が必要となり、登録免許税が発生します。
住宅ローンに対する登録免許税は、借入額に対して税率をかけて算出されます。
登記に行く場所
不動産登記は、法務局に行って手続きをおこないます。
法務局には、公的な帳簿である「登記簿」が管理されています。
登記簿に記載されている内容は、以下のとおりです。
●所在地
●広さ
●土地の用途
●所有者名
●抵当権設定の有無
土地の登記は、不動産の所有者であることを公に示すために重要です。
登記簿は一般公開されており、手数料を支払って閲覧ができます。
所有権に関するトラブルが起きた場合や不動産を担保に融資を受ける場合などに、登記簿の情報が役立ちます。
その他の登記費用
登記時には登録免許税だけでなく、司法書士手数料がかかるケースもあります。
登記は自分でおこなうこともできますが、登記の内容が複雑で自分では手続きが難しい場合もあります。
相続問題や所有権に関するトラブルなどが関わっている場合、司法書士に手続きを依頼したほうがスムーズに進むかもしれません。
司法書士の報酬は自由化されているため、登記にかかる費用は依頼先によって異なります。
所有権移転のみ依頼する場合は、5万~10万円程度が相場です。
一方で、証明書の収集なども依頼する場合には、より多くの費用がかかります。
不動産の登記時にかかる登録免許税の税率について
不動産の登記時にかかる登録免許税の税率は、登記の種類によって異なります。
ここでは、所有権の保存と移転、抵当権の設定の3種類に分けて解説します。
所有権の保存
所有権の保存登記は、新築住宅を取得した場合に必要となる手続きです。
新築の建売住宅や新築マンションを購入すると、その建物にはまだ所有者が設定されていないため、はじめに登記が必要です。
新たに登記簿を作成し、保存するため「保存登記」と呼ばれています。
保存登記にかかる登録免許税は、不動産の評価額に税率0.4%をかけて計算します。
たとえば、固定資産税評価額500万円の新築住宅には、2万円の登録免許税がかかる計算です。
所有権の移転
ほとんどの土地や中古住宅には、元々の所有者がいます。
すでに所有権の登記がある不動産に関して、所有者の変更を登録するのが「移転登記」です。
土地と中古住宅の移転登記には、どちらも2.0%の税率が課せられます。
たとえば、固定資産税評価額2,000万円の土地と500万円の住宅を購入した場合は「2,500万円×2.0%=50万円」の登録免許税がかかります。
なお、土地と新築の住宅を購入した場合は、土地には2.0%、新築住宅には0.4%とそれぞれ異なる税率をかけるため、計算に注意が必要です。
抵当権の設定
住宅ローンの借り入れをする場合も、抵当権の設定のために登録免許税がかかります。
抵当権の設定にかかる税率は0.4%です。
たとえば、500万円を借り入れた場合には「500万円×0.4=2万円」の登録免許税がかかります。
抵当権とは、返済が滞った場合に不動産を差し押さえ、競売などにかけて債務回収できる権利です。
金融機関にとっては、担保を取るための重要な手続きであり、通常は債務者本人に登記を任せることはありません。
そのため、住宅ローンを組む場合は自分での登記はできない点に注意しましょう。
抵当権は、ローンを完済した時点で抹消手続きをおこなえます。
所有権の情報を正確に保つため、ローン完済後の手続きについても忘れないようにしましょう。
不動産の登記時にかかる登録免許税に関する軽減措置とは?
不動産の登記時にかかる登録免許税には、軽減措置が設けられています。
要件に当てはまる場合は、積極的に活用すれば、税金の負担軽減が可能です。
ここでは、「住宅用家屋」「特定認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」の3つの軽減措置を解説します。
住宅用家屋
現在、特定の住宅用家屋について、2027年3月31日まで税率の軽減措置が設けられています。
所有権の保存の登記は、0.4%が0.15%に引き下げられています。
所有権の移転の登記の2.0%は、0.3%で適用可能です。
住宅用家屋の軽減措置を適用するためには、床面積が50㎡以上であることなどの要件があります。
しかし、大抵の一戸建てやマンションに当てはまる要件となっており、多くのケースで適用可能な措置です。
床面積は、マンションの場合は壁の厚みを含めない内側の面積を指します。
登記簿上の床面積と広告に表示される専有面積は異なる場合があるため、適用可能な50㎡を満たしているかを確認することは大切です。
軽減措置は、住宅ローンの借り入れ時にかかる登録免許税にも適用可能です。
「住宅取得資金の貸付等に係る抵当権の設定登記」については、税率が0.1%に軽減されています。
特定認定長期優良住宅
住宅用家屋のうち、指定される性能を持つ「特定の住宅用家屋」に当てはまる場合は、さらに受けられる軽減措置があります。
そのうちのひとつが「特定認定長期優良住宅」です。
特定認定長期優良住宅とは、長期にわたって優良な状態で住めると認定された住宅のことです。
バリアフリー性や省エネ性、耐震性などにおいて一定の基準を満たしている必要があります。
特定認定長期優良住宅に当てはまる新築の取得もしくは、中古マンションの取得では、税率が0.1%まで引き下げられます。
中古の一戸建てを取得する場合は、税率は0.2%です。
特定認定長期優良住宅は、登録免許税の軽減措置のほかにも、取得税や固定資産税などの税金軽減、住宅ローンの金利優遇など多くのメリットがあります。
これから購入する不動産を選ぶ場合は、軽減措置の要件に当てはまる物件を基準に検討するのも良いかもしれません。
認定低炭素住宅
「認定低炭素住宅」も軽減措置を受けられる、特定の住宅用家屋のひとつです。
認定低炭素住宅とは、高い省エネ性能を備えた住宅で、認定されるための一定の基準が設けられています。
認定低炭素住宅は、新築・中古住宅のどちらも税率が0.1%に軽減されます。
このタイプの住宅にも、多くの優遇措置があるため、低炭素性能についても積極的に検討することがおすすめです。
まとめ
登録免許税は、不動産の登記時にかかる国税で、登記後は法務局で登記簿の確認が可能です。
登録免許税は、所有権の保存・移転、抵当権の設定によって税率がそれぞれ異なります。
住宅用家屋の軽減措置にくわえて、一定基準の性能を持つ住宅にはさらなる軽減措置が設けられているため、要件に当てはまる場合は活用しましょう。