住宅ローン減税適用は省エネ基準適合が必要?制度改正のポイントなどを解説
住宅ローンを利用して住宅購入をする際に、節税につながる特例が住宅ローン減税ですが、税制改正に基づく変更について気になられてはいらっしゃいませんか?
令和6年から新築住宅に入居する場合、特例を利用するには、省エネ基準適合などについて知っておくことが大切です。
そこで今回は、住宅ローン減税改正のポイントや、住まいの省エネ性能の評価基準となる断熱等級などを解説します。
省エネ基準適合住宅が条件に!住宅ローン減税改正のポイント
住宅ローン減税は、マイホーム購入で住宅ローンを利用したときに適用できる制度です。
ここでは、令和6年1月から改正された住宅ローン減税のポイントを解説します。
住宅ローン減税と改正のポイント
住宅ローン減税の正式名称は、住宅借入金等特別控除で、住宅ローン控除と呼ばれることもあります。
特例の要件を満たしている場合、控除期間は新築住宅が最大で13年、中古住宅で10年として、年末時点でのローン残高の0.7%にあたる金額を所得税から控除できます。
所得税から控除しきれなかった分については、住民税から差し引ける仕組みです。
令和4年の税制改正では、住宅ローン減税の制度が適用される期限が延長され、令和7年12月31日までになりました。
その際、対象となる住宅の種類には、省エネ基準適合住宅やZEH水準省エネ住宅の新区分が設けられました。
令和6年1月から変更となった住宅ローン減税改正の内容については、これから解説する3つのポイントを押さえておくことが重要です。
ポイント①:新築住宅の省エネ基準適合
令和6年1月から住宅ローン減税の要件として必須になったのが、建築確認を受けて建てられた新築住宅が省エネ基準に適合していることです。
ちなみに、省エネ基準は、建物が満たすべき省エネ性能を評価する基準で、一次エネルギー消費量基準と断熱性を示す外皮性能基準で構成されます。
つまり、住宅ローン減税を利用するには、省エネ基準適合住宅以上の環境性能をもつ住まいの購入が要件のひとつとなっています。
省エネ基準適合住宅とは、断熱等級(断熱等性能等級)、一次エネルギー消費量等級がともに4以上の住まいです。
ポイント②:住宅ローン減税の借り入れ限度額
住宅ローン減税の新築住宅についての借り入れ限度額も、改正によって、見直しがおこなわれました。
購入する家の省エネ性能や入居のタイミングによって、借り入れ限度額が異なることがポイントです。
たとえば、省エネ基準適合住宅に令和5年に入居した場合は、限度額は4,000万円ですが、令和6年もしくは7年の入居では3,000万円です。
ZEH水準省エネ住宅の場合は、令和5年の入居で4,500万円、令和6年から7年の入居で3,500万円になります。
環境性能の高さに比例して特例の対象になる借入限度額が増えますが、認定長期優良住宅の場合は、令和5年の入居で5,000万円、令和6年から7年の入居で4,500万円です。
なお、令和6年からは省エネ基準に満たないその他の住宅は、借り入れ限度額は0円です。
ただし、令和5年末までに建築確認を受けているか、令和6年6月までに竣工済みの場合、入居が令和6年以降でも控除期間10年で2,000万円の借り入れ限度額となります。
ポイント③:申請に証明書が必要
住宅ローン減税を利用するには、不動産購入した翌年の申告期間に、確定申告が必要です。
その申告のときに、住宅ローン減税を適用するマイホームが、省エネ基準をクリアしている証明書を提出することになります。
住宅の区分よって証明書は異なり、認定住宅の場合は、都道府県か市区町村などに認定通知書の写しと、住宅用家屋証明書か認定住宅の種類に応じた建築証明書を用意します。
ZEH水準省エネ住宅や省エネ基準適合住宅の場合は、登録住宅性能評価機関が発行する建設住宅性能評価書か、住宅省エネルギー性能証明書の準備が必要です。
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住宅ローン減税適用に必要!省エネ基準適合住宅の断熱等級
令和6年から、住宅ローン減税を適用するには、最低でも省エネ基準適合住宅以上の区分に該当することが求められています。
省エネ基準適合住宅では、日本住宅性能表示基準における断熱等級と一次エネルギー消費量等級が、それぞれ等級4以上であることが必要です。
ここでは、住宅ローン減税の予備知識として、断熱等級について解説します。
断熱等級とは?
断熱等級は、品確法の柱のひとつである住宅性能表示制度の評価項目に含まれ、断熱性能を等級で示すものです。
そのため、室温を安定して保ちやすくし、冷暖房に用いるエネルギーを減らすための性能を断熱等級の評価から知ることができます。
そして、住宅ローン減税の要件である省エネ基準適合住宅では、断熱等級4であることが必要です。
特例適用に求められる「UA値」
断熱等級の評価のおもな基準指標は、平均日射熱取得率のηAC値と、外皮平均熱貫流率であるUA値です。
ηAC値は、太陽の熱が住宅内にどれくらい伝わるかを示す数値で、暑い時期の冷房空調不可を計算する際に用います。
一方、UA値は、住宅内の熱が外部にどれくらい逃げるかを示す数値で、値が低いほど、その家は気密断熱性に優れていることがわかります。
また、地域区分でUA値が定められており、三大都市圏を含む地域区分Ⅴ・Ⅵでは、新築住宅はUA値0.87以下が目安です。
そして、住宅ローン減税適用の条件といえる断熱等級4でも、基準となるUA値は0.87です。
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一次エネルギー消費量等級とは?特例に関連する省エネ性能
断熱等級と並び、一次エネルギー消費量等級も、住宅ローン減税適用の条件となる省エネ基準適合住宅では、等級4であることが求められます。
ここでは、一次エネルギー消費量等級の概要や、省エネ基準に適合するかの判断基準について解説します。
一次エネルギー消費量等級とは?
省エネ基準適合住宅の評価基準のひとつである一次エネルギー消費量等級とは、家の1年間における消費エネルギー量を段階的に評価したものです。
また、等級を決める数値はBEIで、「設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量」の計算式で求められます。
一次エネルギーとは、太陽光や風力などの加工されずに得られるエネルギー源で、対して二次エネルギーは、電気や都市ガスなど一次エネルギーを加工して供給されるものです。
そして、家で使うのは、電気やガスといった二次エネルギーが中心ですが、KWhや㎥など単位が違うため、そのままでは住まい全体のエネルギー消費量を求めることが困難です。
そこで、二次エネルギーは、一次エネルギー換算係数を掛けることにより、一次エネルギーに換算してから住まい全体の消費エネルギーを求めます。
なお、一次エネルギー消費量では、共通単位としてMJやGJが用いられています。
省エネ基準適合の判断
家の一次エネルギー消費量の判定に用いられる設備は、暖房や冷房、換気や給湯のほか、照明などです。
また、太陽光発電設備を導入している場合は、それも対象として加味されます。
そして、住宅ローン減税適用の条件となる省エネ基準適合住宅と評価されるには、BEIの計算結果が「基準一次エネルギー消費量≧設計一次エネルギー消費量」となることが必要です。
そのため、BEIの値が小さくなるにつれて、エネルギー消費量も少なく、一次エネルギー消費量等級は高い等級となる仕組みです。
省エネ基準適合住宅で求められる一次エネルギー消費量等級4では、BEIの値が1.0以下と定められています。
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まとめ
住宅ローン減税は改正を受け、令和6年1月より、新築住宅は省エネ基準に適合していることが必須要件となっています。
そして、省エネ基準適合住宅に認定されるためには、断熱等級4でなくてはなりません。
また、一次エネルギー消費量等級も等級4であることが求められますが、改正後の要件もクリアしていれば、節税効果の高い特例を利用することが可能です。